建設業界豆知識∼ジブリ映画から学ぶ~スケールと環境で考える、ジブリの住まいづくり
黒宮建設です
~『崖の上のポニョ』と『借りぐらしのアリエッティ』に学ぶ、“暮らしの工夫”と“自然との距離感”~
家は、その場所に住まう「誰か」のために設計されるもの。
今回の2作品では、「人間より小さな存在の家」や「自然に囲まれた高台の家」など、スケールや環境条件が異なるからこその設計の工夫が数多く描かれています。
崖の上のポニョ:海辺で暮らす家の、眺望と防災のバランス
主人公・宗介が暮らす家は、海を見下ろす断崖に建てられた一軒家。
自然に囲まれたそのロケーションは、豊かさと危うさの両方を併せ持ちます。
家づくりの注目ポイント
・高台の眺望を活かす開口部設計
南向きの窓やベランダが特徴的で、海風を取り入れつつ、常に光と風を意識した設計。
・断崖地形と“地盤”の考慮
高台ゆえの地盤対策や基礎の工夫が想像されます。実際に建てるなら、擁壁の強化・排水対策・杭基礎などが必要不可欠です。
・津波や高潮を描いた描写から学ぶ、防災意識
作品中では高潮により町が水没し、家の一部も冠水します。これは「海辺に暮らすリスク」をリアルに描いたシーンであり、 現代の家づくりでも、ハザードマップの確認・高基礎設計・避難経路の確保などをあらためて考えさせられます。
現代住宅に活かすなら…
風景との調和を大切にしながら、気象災害に備えた設計やレイアウトは、海辺や高台に住む方にとって、非常に参考になります。
借りぐらしのアリエッティ:1/10スケールの世界に見る、設計の極意
アリエッティたち“小人”の暮らす家は、人間の家の中の小さな空間。
その視点から描かれる住宅内部は、私たちの日常の空間が「巨大で過酷な環境」として描かれます。
◾小さな視点で見る、設計の発想
・既存の構造を“流用”する知恵
キッチン下のスペースや壁の中など、元々ある家の“隙間”をうまく利用して自分たちの空間にしています。これは「リノベーション」や「再利用」「間仕切りの工夫」に通じる発想です。
・最小限の動線と多機能家具
限られたスペースを最大限活かすため、寝る・食べる・しまうが1箇所で完結するよう設計されています。“狭小住宅”や“ワンルーム設計”に通じる、家具と住空間の融合的な使い方が見どころです。
・素材と道具のスケール感覚
葉っぱで雨を防ぎ、ティッシュでベッドを作り、画鋲をはしご代わりにする…これらは“スケールが変われば機能も変わる”ことを教えてくれます。
▶ 現代住宅に活かすなら…
狭小住宅やミニマルな生活を志向する方にとって、“スモールスペースの設計哲学”として大いに参考になる作品です。
「誰が、どこで、どう暮らすか」を想像する力
『崖の上のポニョ』では、環境と防災のバランスが問われ、『借りぐらしのアリエッティ』では、スケールによる暮らしの工夫が詰まっています。
どちらも、“人に寄り添った家づくり”とは何かを考えさせてくれる物語です。
自然と調和しながら、無理のないスケールで、暮らしやすさをデザインする——
それが私たち工務店の使命だと、ジブリ作品が改めて気づかせてくれます。
次回は、『耳をすませば』や『コクリコ坂から』など、“昭和の団地や下宿に見る暮らしの原風景”をテーマにお届けします。
懐かしさと共に、今の住まいづくりに活かせるヒントを探っていきますので、どうぞお楽しみに!
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