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建設業界豆知識∼ジブリ映画から学ぶ~昭和の団地と下宿にみる“懐かしさ”と“心地よさ”

黒宮建設です

〜『耳をすませば』『コクリコ坂から』の住まいに学ぶ、記憶に残る暮らしのヒント〜

「間取り」や「建材」以上に、人の営みや関係性を包む“空気”をつくるのが、住まいの力。
今回は、どこか懐かしく、そして温かい、昭和の家々に見られる暮らしの要素に注目します。

『耳をすませば』:多摩ニュータウンの団地と、階段のある日常

物語の舞台は、東京都多摩市周辺の昭和の団地とその近郊の住宅地。
地形の起伏や公共交通と隣り合った立地が特徴的です。

◾住まいの注目ポイント
団地ならではの「共用空間」
エレベーターのない中層団地、外階段、手すり、廊下、ベランダ…。
誰かとすれ違い、挨拶が生まれる「共有空間」が、日常の中に自然に溶け込んでいます。
コンパクトな間取りでも広がる視点
読書や音楽、創作にふける主人公の部屋は決して広くないですが、窓からの景色や家族の生活音が「つながり」を感じさせ、居心地の良い空間を生み出しています。
階段と坂のあるまちづくり
丘陵地に造成された多摩地域では、階段や坂が日常の一部。立体的な地形は、住まいからの眺望や動線設計に活かされます。

▶ 現代住宅に活かすなら…
小さな住まいでも、視線の抜け・窓配置・共用の工夫で暮らしの質は高められます。
また、住まいが地域と「緩やかにつながる」仕組みは、今後の住宅地計画にも活かしたいところです。

『コクリコ坂から』:下宿「コクリコ荘」と、大家族的住まいの知恵

横浜・山手の高台に建つ下宿屋「コクリコ荘」は、主人公・海が切り盛りする大きな木造建築。
古くて不便な点も多いですが、住人同士の距離感や共同生活の工夫が丁寧に描かれています。

◾住まいの注目ポイント
木造三階建て・縁側・引き戸・障子など、日本家屋の意匠が随所に
長屋的要素を持ちつつ、山手らしい洋風デザインも融合。玄関が大きく、靴が並ぶ土間も生活感にあふれています。
共同キッチンや風呂場に見る、暮らしの知恵
「一つの家に複数の家族が暮らす」形式では、共有スペースの使い方が鍵。作業の分担、収納の工夫、時間の使い方など、人との距離を保ちつつ関わる工夫が求められます。
“生活音”が心地よく流れる設計
音や気配が伝わる空間は、プライバシーとのトレードオフですが、 安心感や一体感にもつながります。現代の「孤立しがちな住まい」へのヒントにも。

▶ 現代住宅に活かすなら…
二世帯住宅やシェアハウス、コミュニティ型住宅において、下宿のような“ゆるやかなつながり”を持つ住まいは、再評価されています。
間取りの可変性、共有空間のあり方、プライバシーの調整など、設計の柔軟性が求められます。

「狭くても、古くても、あたたかい」そんな住まいの原点

今ほど“便利ではない”時代の家だからこそ、人との関係や工夫が、暮らしを支えていたことが伝わってきます。

昭和の家には、ちょっとした不便を受け入れる「余白」がありました。それが、自然や人との距離感をちょうどよく保っていたのかもしれません。

“住まいはハード(構造)だけでなく、ソフト(関係性)も含めて設計する”そんな視点を、ジブリ作品から学び取ることができます。

次回は、いよいよクライマックス。
『天空の城ラピュタ』『風立ちぬ』など、時代背景・技術・建築思想にフォーカスを当てた「ジブリ建築の本質」に迫ります。
どうぞお楽しみに!

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